「上昇思考 幸せを感じるために大切なこと」を読んで おばあちゃんの手紙に感動した
感想
大分前に話題になっていただろうか。サッカー選手が本を出すのが流行のような時期があったように思う。メンタルの大事さを語っている自己啓発本は数多く出版されているが、どれも胡散臭く手には取らない。きっと同じようなことが書かれているんだろうなと思ってしまう。ただ、この本は愛されキャラでポジティブにインタビューを受け答えする長友佑都さんのことを知ってみたいと思い手に取った。
長友佑都さんは現在、インテルで活躍するサッカー選手である。身長170cmと小柄であるものの体幹が強く、海外の屈強なプレヤーとの競り合いにも当たり負けしない頑丈さを持っている。しかも、左サイドバックというサッカーで最も長い距離を走るポジションをこなしている。その長所であるスタミナは無尽蔵であり、相手との一対一に負けないだけではなく、ときにはサイドを駆け上がり攻撃に積極的に参加しゴールやアシストを決める、今ではインテルそして日本代表には欠かせないキープレーヤーとなった。
その長友佑都さんの書いた「上昇思考」を読んだ。彼は「上昇志向」ではなく「上昇思考」と言い換えている。
僕は人生の選択肢にぶつかったときにも、正解を選択しようとするよりも"自分の選択した道を正解にしていくこと"をいつも考える。信念にもとづいて道を選択し、そのプロセスのなかで最大限の努力ができたと言い切れるなら、必ずそこで成長ができ、大きな成果を手に入れられるからだ。
前向きで向上心を持つ"考え方"の重要性を伝えている。
彼もすべてが上手くいっている訳ではない。例えば、明治大学の頃には椎間板ヘルニアを煩い試合にはあまり出れないでいる。また、インテルに移籍した際にはそのプレッシャーから自分本来のパフォーマンスを発揮することができず、サポーターから酷い罵声を浴び新聞では犯罪者のような扱いも受けている。
それでも彼はいま、上昇思考を身につけ、日々の幸せを感じ、その結果、人生を大きく成長・成功させている。
起こるすべての出来事を肯定的に捉えることから始めよう。
あなたも私も失敗はしたくないよね。失敗したときのことを考えると夜も眠れないかもしれない。ただ、失敗をすることで自分の克服すべき課題が見えてきて、それを改善できたとき、自分は人として成長していると思わないだろうか?
ネガティブに考え、次に挑戦することをやめてしまえば成功することもありません。失敗は成功のもと、成長できる機会を天から与えられたと思おう。次の機会には同じ失敗をしなければ良いのだ。
チャレンジして失敗して克服して、さらにチャレンジする。
失敗が人として成長できる糧となるなら、失敗する機会を与えてくれたことに対しても天に感謝すべきものだろう。
人として成長しよう。「死んだら富も名声も持って行けない、持って行ける者は己の魂のみ」。人間力を磨こうじゃないか。
サッカー部顧問の井上博先生の人としての「三本柱」
人間力をどう磨けばいいのか。その指針となるのは本書で紹介されている、
「自分づくり」「仲間づくり」「感謝の心」
の三本柱なのではないだろうか。
サッカー部顧問であった井上博先生が長友佑都さんに何度も繰り返し繰り返し教えたそうだ。
「自分づくり」とは、こんな人間になりたいという目標をつくって、それに向かって最大限の努力を続けていくこと。
「仲間づくり」とは、その過程において、自分は一人きりの存在だとは考えず、家族や友達といった仲間を大切にしていくこと。
「感謝の心」は、それらすべての土台になるもの。
自分づくりも仲間づくりも感謝の心がなければ、土台がぶれてしまい高く高く伸ばすことはできないだろう。まず、感謝の心を持つこと、それを意識して生きていこう。
おばあちゃんの手紙
最後に、本書の中で紹介されている長友佑都さんのおばあちゃんの手紙に感動したので紹介します。「物事は心の持ちよう」その考え方はおばあちゃんから受け継いでいるのかもしれませんね。それではまた。
おばあちゃんの手紙
とりとめのなことを書きますが、自分で咀嚼してください。
命が一番、元気が一番です。心の元気が健康のもと。
心をやわらかく。
苦しさを嬉しさに変える。
何があっても絶対に解決の方法はあります。いいこと悪いこと、喜び悲しみは表裏一体です。いまの状況を抜けるときは、人生が飛躍するときです。
強さとは無心に尽きます。心がない、無心に尽きます。
一流選手の条件は、長く続けることです。
上から目線は、頭しか見えません。周りが見えません。自分が偉いとか上手だとか思ったとき、人生の誤りが始まります。
しんどいときは先のことを考えない。いまを最小限のエネルギーで、なんとかすること。
人にわかってもらいたいとか、変わってもらいたいと思っているあいだは、しんどさは続きます。相手が悪いのではありません。
落ち込むと後悔の念が先に立ち、失敗ばかりに目がいきます。抜け出すにはきっかけを掴むこと。自分の気持ちを変えるのではなく、きっかけを待って変わるものです。
そのきっかけは、友人、先輩、子供、本や映画、なんでもいいのです。
悶々としているときは、思考回路が空回りします。
肩の力を抜いて、心に響く言葉に出逢うことです。
笑いは天の花。
いっぱい笑ってください。
嫉妬されるのは、その人自身がすぐれているから。相手はそれが羨ましいのです。
神経質にならず、好奇心をもって鈍感になってみてはどうですか。
公私ともに中傷もありますが、すべてバネにしてください。嫉妬・悪口をいってくれた人に感謝して大きくなることです。
岡田(武史)監督から学んだ、人生万事塞翁が馬です。
吉田家の皆さん(長友選手の母方の家族)、お父さん、お母さんに感謝ですね。
亡くなった松田(直樹)さん、足の悪い塚本(泰史)さんのことを考えると、黄金の足の佑都は幸せですよ。
目次
はじめに
第一章 メンタルコントロールー世界と戦う「心の」つくり方
- インテルでぶつかった壁と「心の問題」
- 僕が本当に目指しているものは・・・・・・
- 一流の人間でなければ一流のプレーヤーにはなれない
- 僕がサッカーをやっている理由
- 一流と呼ばれる選手たちのメンタルコントロール
- サネッティのような男になりたい
- 誰にでもできる「心のトレーニング」
- 一日10分間の「自分と向き合う時間」
- イメージトレーニングの効用が出た試合
- 「心の余裕」ですべてが変わる
- 強じんな心が生むプレイと臆病なプレイ
- メンタル面に左右されるプレイの質
- のっているときには試合も楽しい
- 被災地の子供たちと話をして・・・・・・
- 一流の人間と一流のサッカー選手
- 「生きた教科書」から学べていること
- 大きな心と何事にも動じない精神力
- 見えた光と、努力の質
- メンタルトレーニングの効果を高める「心のノート」
- 過去を振り返ることの大切さ
- 試合前のジンクスはつくらない
- おばあちゃんの手紙
- 大切なのは「ふにゃふにゃの心」
- 学ぶための材料はどこにでもある
第二章 ポジティブシンキングー「苦境」を脱する力
- 僕は世界一の幸せ者だ!
- 直面する現実を素直に受け入れる
- メディアに叩かれるのもチャンス
- ミスには「成長のヒント」がある
- 「天」が与えてくれる試練
- 経緯はすべてプラスにできる
- 気持ちを切り替えるための捉え方
- つらければつらいほど、大きくジャンプできる
- 失敗には成功に劣らぬ報酬がある
- 弱音を吐けば「負の連鎖」を招くだけ
- ネガティブ思考を捨てれば人生は楽しくなる
- 「笑顔はすべてを救ってくれる」というサネッティの教え
- つらいときこそ上を向く
- 「友の思考」によって伸びる才能
- 平常心とプレッシャのバランス
第三章 感謝の心ーすべてはそこから始まる!
- 感謝の心があるから人は成長できる
- 感謝の心と努力、ポジティブシンキングとのつながり
- 人としての「三本柱」
- 背中を後押ししてくれた母さん
- 感謝の心があるから努力ができる
- もがいてもがいて、もがき抜いた高校3年間
- 命懸けで僕たちを育ててくれた母さんに感謝!
- 自然に出た「ありがとう」
- 父さんを憎んでいた自分が情けない
- 感謝の心は、その意識から
- ホペイロ(用具係)の人たちへの「ありがとう」
- 「君が代」とみんなの顔
- 感謝の心が呼ぶ「人とのつながり」
第四章 出逢い、運命、意志ー僕を導いてくれた一期一会
- 誰よりも強く、そうありたいと願望すること
- 音楽にも僕は救われている
- 奇跡的な出逢いの連続
- 初心に帰ることができた城福監督の言葉
- 岡田監督の教えとザッケローニ監督のやり方
- 日本代表に不可欠な存在、遠藤さんと長谷部さん
- 日本サッカー界のアイコン、カズさんとシュンさん
- ポジションが確約されるほど危機的状況はない
- 人は変われる!夢は叶うと信じること
- 意志あるところ道あり
第五章 コミュニケーションー理想的な人間関係の築き方
- 僕はいま”過激なバカ”になっている
- 「世界共通のバカ」と「素の自分」
- 自己アピールは最初が肝心!
- お辞儀パフォーマンスの元祖はサネッティ!?
- いいプレイのためには早くチームに「馴染む」こと
- 人と衝突するときは自分にも原因がある
- 「移籍」も「転職」も円満に!
- 監督や上司は、まず好きになる
- 「負の感情」は顔に出る
- 「合わない監督」も歓迎できる!
- 人の話を聞くということ
- サッカーを知らない人の言葉にもヒントは隠されている
- 生涯の友は「志高きサラリーマン」
- コミュニケーションの第一歩は笑顔
- 一人きりの海外生活の心得
- コミュニケーションの壁も乗り越えられる
第六章 夢を叶えるということー「結果」を出すためにすべきこと
- 世界一のサイドバックになると決めたこと
- 目標の「上方修正」
- 心のスイッチを切り替える
- いまのマイコンは憧れの存在ではない
- インテルでプレイできることの幸せ
- サッカーと職業意識
- 勇気を持って挑戦すれば失敗しても次につなげられる
- 世界一のサイドバックになる時期
- 「才能」は授かるものではなくつくるもの
- 「努力」は裏切らない
- 夢を叶えるための「目標の設定方法」
- 思いついたら、すぐ行動に移す
- 大きな挫折ほど得られるものは大きい
- 不安や悩みはちっぽけなことばかり
- 限界は、考えているよりずっと先にある
- 「厳しい道」を選択するということ
- 自分で決断すれば、後悔はしない
- 長友佑都という「普通の人間」
- 一度きりの人生だからこそチャレンジしたい